東京モデルルーム

ごく一般的な中年会社社員による当たり障りのないブログ

フジロックで横山健を見た話

はじめてのフジロック

30代半ばにしてはじめてフジロックに参戦した。今までも行ってみたいと思ってはいたが、なかなかタイミングが合わずにここまで来てしまった。

とっても疲れたが、とてつもない多幸感、達成感に包まれ、機会があればまた行ってみたいなぁと思わせてくれた。大勢の人が毎年行き、他のイベントとは違う信者みたいな人たちがいるのもわかる。

私のような中年の方々もすごい多い印象を受けた。子供を連れている人も多い。結婚する前に行った思い出のフジロックに子供を連れて・・・なんて幸せな絵なんだ。

バツイチ未婚、子供もいない僕にとっては、遥か遠くにある幸せだよ・・・。

ただ、そんな中、我々30代のヒーロー横山健は静かに怒っていた。

横山健はややこしい

僕たちが思春期の頃の横山健、ハイスタといえばとてつもないカリスマだった。レーベルを自分たちで立ち上げ、テレビにも全く出ないのにチケットは即完売。AIR JAMというイベントには何万人もの人たちが押し寄せた。

僕は恥ずかしながらライトなリスナーだったので、ライブに行く事もできず、ただただCDを聞いてギターのコピーをしているだけだった。

だけど、よく知らないまでも、メジャーに迎合しない姿勢は共感できるものがあった。思春期にかかったはしかが長く完治することなく、ずっと憧れている。僕にとって横山健はそんな存在だ。

当時はあまり知ることがなかった横山健の考えだが、ここ数年は自身のコラム、映画、書籍を通してその断片に触れることができる。

そういった諸々発信されていることを踏まえ、フジロックの彼を見て、本当にややこしいおっさんだなぁと思う。

横山健は何を言ったのか?

今年のフジロックの前、少し世の中がざわついた。日々忙しい我々にとってはもはやそんな事あったっけ?レベルのことかもしれない「音楽に政治を持ち込むな」問題である。

SEALDsの奥田愛基フジロックに出演が決まった事に反発した人たちが発言したことによって、若干炎上気味になった。

ここに横山健はがっつりと、フジロックの中でも一番大きいステージでしっかりと怒りを伝えていた。胸糞が悪いと。

「ピクニック行きたいんだったらラジカセ持って行ってくれ」

「SEALDs応援してるわけじゃないけど、若いやつが声を上げないといけなくなった状況を考えてほしい

「俺にとっては政治もち○こま〇こもバンドもロックンロールも同じだと思う」

この怒り、横山健にとってはごもっとも。彼のコラム集「横山健 随感随筆編」を読むと、自分の想い、考え、発言を「社会との闘い」と言っている。コラムの中では政治の話に触れることも多いが、「政治の話をしているつもりはない、オレたちの生活の話をしているんだ」とも書いている。

フジロックの舞台に横山健が出て、こういう発言をしたことはちゃんと、もっと大きく扱われてもいいと思うんだけど、あまり話題になっていない。

ライブはどうだったのか

年甲斐もなく、最前列、モッシュピットに飛び込んだが、まあ中年の多いこと笑

たっぷり汗をかいて、大いに盛り上がれたし、色々考えさせられてちょっと泣けた。

だけど、音楽と政治問題に加えて、日の丸を背負う意味、旗を振ってほしいという発言。横山健の覚悟や気持ちに自分たちはどれだけ答えられたのかなと思う。

選曲は昔ながら(昔で止まっている)のファンや、普段横山健のソロを見に来ないような人にも、受け入れられる選曲だったと思うのだが、それも余計に寂しい。

怒りを口にしながらもある程度一定数の人たちには受け入れられるところを目指す。なんとなくそんな葛藤を感じた。

「STAY GOLD」やってくれたら当然嬉しいけど、DJイベントで流れたときの方が無条件で盛り上がれた。

よかったけど複雑で、ちょっと心にザラついたものを残された。そんなライブだった。

これから横山健とどう向き合うか

と書いてはみたものの、僕だって毎日忙しい。そんなにヒマじゃないんだけど、なんでわざわざ横山健がああいうスタンスを取るのか考えてみたい。

それは、多分子供の存在なんじゃないかなと思う。

自分たちのことはまあいいとして、子供や孫が生きる世界に、自分たちは無頓着でいいんでしょうか?ってことなんじゃないだろうか。

せっかく子供たちを連れてきたフジロック。自分の見たいライブや食べたいものは横に置いておいて、子供のために時間を使うお父さんやお母さんも多いんだろうなあと推測します。

だったらもうちょっと未来のことを考えてみない?っていう投げかけなんじゃないかなと。同世代の人間としてはそんな風に受け取った。

心に残されたザラつきを落とすために、もうちょっと世の中や未来に向き合うことが必要なのかもしれない。

考えさせられる音楽というものも、ある程度の年齢になるといいものだ。 

横山健 随感随筆編

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